環太平洋連携協定(TPP)交渉が5日、大筋合意した。焦点の農業分野でコメの無関税輸入枠の新設など具体的な合意内容が明らかとなり、愛媛県内の農業団体や生産者からは不満や懸念の声が聞かれた。
 6日取材に応じた県農協中央会(松山市)の高月初彦会長は「重要品目で譲歩がなされ、国内農業に甚大な影響を与える可能性の高い内容で強い憤りを覚える」と非難した。
 日本養豚協会副会長を務める県養豚協議会(松山市)の竹内日出男会長は「安い豚肉がどんどん輸入され、国産の相場も下がっていくと日本の養豚は太刀打ちできないだろう」と嘆き、政府が今後打ち出す施策に農家の声を反映するよう切望した。
 乳製品分野について四国乳業(東温市)の三好晶夫社長は、北海道との産地間競争が厳しくなり、コスト削減の困難な農家にしわ寄せが行くことを懸念した。コメ分野では、水稲など30ヘクタール超を作業受託している飯盛会生産組合(西条市)の国田定義組合長は「TPP交渉よりずっと以前からコメの消費量は落ち、米価は下がり続けている。農家は食味が良く、安全なコメを作ることで消費者の支持を得るしかない」と話した。